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働きやすい職場を作るには従業員を昇級させるな!古い日本の昇級システムから脱却せよ

2021/12/27

多くの場合、営業マンは管理職となることを目標にして働きますが、その昇級システムが働きにくい会社にする原因になってしまうこともあります。

一般的に、営業マンはトッププレイヤーになればなるほど昇級し、高い地位を築きます。
最終的には管理職に昇級し、組織を統率・管理・けん引する存在となるでしょう。

しかし、これでは働きにくい会社となってしまいます。

昇級システムは多くの企業で導入されていますが、なぜ働きにくい会社になる原因にもなってしまうのでしょうか。
その理由を解説し、働きやすい会社にするためのコツをご紹介します。

昇級システムが働きにくい会社にする理由

一般的な会社では、実績を積めば積むほど周りから評価され、主任や課長・部長へと昇進していきます。
地位が上がれば「周りから高く評価されている」とやりがいを感じ、モチベーションが上がるという人も多いのではないでしょうか。

しかし、この昇級システムにはデメリットもあり、働きにくい会社の原因になってしまうこともあります。

社内で高い地位を獲得したい人にとっては、「昇級システムが原因で働きにくくなるのはどういうこと?」と納得できない方もいらっしゃることでしょう。
そこで、なぜ昇級システムが働きにくい会社にしてしまうのか、その理由について解説します。

①営業と管理職に求められるスキルは異なる

営業職の役割は売り上げアップ、管理職は営業の計画・統制などです。

それぞれの役割と目標が異なるため、求められるスキルも当然違います。
これを理解せず、ただ「成績のよい営業マンを管理職にする」というシステムを導入していれば、営業で成績が出ても管理職としての適性がない人を昇級させてしまう可能性もあります。

例えば、営業マンに必要なスキルは「コミュニケーション能力」「ヒアリング能力」「タイムマネジメント能力」「クロージング能力」分析能力」の5つが主に挙げられます。
一方、管理職に必要なスキルは「コンセプチュアルスキル」「コミュニケーション能力」「テクニカルスキル」の3つです。

このように職種によって必要なスキルは異なるため、「営業成績がよいから」といって「管理職に適している」とは言えないでしょう。
これらのスキルはその人物が持っているもともとの能力に頼っている部分もあるため、営業成績がよくても管理職としてのスキル・能力が欠けていれば務まりません。

営業成績トップの優秀者を管理職にしたいのであれば、個人の能力などをきちんと把握した上で決定するとよいでしょう。
無理に管理職にしてしまうと、次のようなことが起こる可能性もあります。

②優秀な営業マンが現場からいなくなる

契約実績が多い人を次々と管理職にしてしまうと、優秀な営業マンが現場からいなくなってしまいます。
今までの取引先もそのまま引き継げればよいのですが、現場からいなくなってしまうため新規顧客の獲得も難しくなってしまうでしょう。

管理職が部下に対して営業指導を行い、社員のスキルを上げることはできるものの、現場で活躍する機会は少なくなってしまいます。
そうすれば会社の売り上げ低下にもつながる恐れがあり、管理職となった優秀な営業マンが抜けた穴を補うため、しばらくは以前の成績まで引き上げるための営業となってしまうでしょう。

③穴埋めのための社員教育が負担となる

優秀な営業マンが現場からいなくなれば、その穴埋めとして他部署からの異動・新たな人材の雇用といった対応が取られるでしょう。

新しく配置された社員は十分な知識がないため、教育をする必要があります。
このときに、職場の先輩や上司が教育担当となって新人を教育する「OJT方式」を採用すれば、先輩や上司は通常業務に加えて新人教育もしなければならず、大きな負担となるでしょう。
特に「教育担当だから」という理由で1人に押しつけていれば、教育計画の作成や実施がかなりの負担になるはずです。

新人には教育が必要で、そのための費用や教育の負担が担当者や会社にかかることは、どの企業も理解していることだと思われます。
しかし、管理職になった優秀な営業マンが抜けた穴を埋める方法としては間違っているといえるでしょう。
ゲームのパーティで例えると、レベル120の侍が抜けてレベル10の剣士見習いが入るようなものです。

どこかの人材が欠けるのであれば、その人物と同等か近しい能力を持った人でなければ、本当に穴は埋められません。
タイミングよく「前職では営業成績トップを維持していました!」という人が採用できればよいのですが、そのような都合のよいことはまず起こらないでしょう。

④昇級を望んでいない営業マンもいる

仕事にやりがいを感じている場合、昇級を望まない営業マンもいます。
管理職としてではなく現場の第一線で活躍し、高い地位ではなく仕事の成績や仕事を通して得られる「人生の糧」が欲しい人はこの傾向があるようです。

このような人物を無理に昇級させると、「仕事のやりがいを感じない」という理由でモチベーションが下がってしまいます。
そうするとパフォーマンスが落ちてしまうほか、退職してしまう人もいるほどです。

「管理職=偉い」の認識は間違い

高い地位に昇進すればするほど「偉そうにしている」と思われがちですが、実はそうではありません。
係長や課長・部長といった管理職もほかの社員と同様に、経営幹部が管理職をマネジメントしています。

管理職とは言っても、結局は管理・マネジメント部というポジションに属しているだけです。
中間管理職はそのまた上の層に管理されている立場でもあるため、一概に「偉い人」とは言えないでしょう。

管理職には最終的な裁量権がない

部長・次長・課長は管理者層にあたり、係長はその下の監督者層の中で次期管理職候補の位置に存在しています。

管理者層の上には経営者・取締役・執行役員といった経営者層がありますが、管理者層は経営者層の最終決定がなければ動けません。
つまり、管理職になったとしても自分で最終決定を出せるだけの裁量権が存在しないことになります。
そうなると経営者層の決定を部下に伝えるだけの、伝書鳩のような存在となってしまいます。

裁量権がなければリーダーシップも取れず、社員の個性は引き出せません。
社員の個性を生かした働きやすい会社にするためには、最低限のルールは決定して現場に上司を配置せず、担当者がのびのびと仕事できる環境作りをするとよいでしょう。

システム構築のカギは「能動的に行動させること」

先ほどご紹介した「最低限のルールの決定で担当者がのびのびと仕事ができる環境作り」は、働きやすい会社をつくるためのシステムです。
これは実際に私たちウィズアスでも導入しています。
システム構築の際は「能動的に行動させるためにはどうしたらよいか」に重きを置き、働きやすい会社にするための努力をしています。

では、このシステムを構築するには何が必要なのでしょうか?
正解は「能動的に行動させること」です。

「能動的な行動」とは、自ら考えて行動することを指します。
最近は「指示待ち人間」という言葉もあるほど、上からの指示がなければ動けない人の存在が問題視されるようになりました。
その問題を解決して能動的に行動できる人へ育てるため、「自ら考えて学ぶ」ことを重要視して授業を行う学校もあります。

このシステムでは現場の担当者に決定権が与えられるため、能動的に行動できなければ仕事ができません。
したがって、システムの構築には「能動的に行動させること」が必要なのです。

まとめ

昇級システムが働きにくい会社にしてしまう理由と、働きやすい会社にするためにはどのようなシステムを構築すればよいか、などについて解説しました。
「昇級システムは絶対悪だ!」とは言い切れませんが、働きにくい会社にしてしまっているのは事実です。

「ウィズアス」では働きやすい会社にするため、管理職は管理職という部門を作り、現場とは分けています。
また、現場は担当者に裁量権を与え、担当者の判断で契約が取れる仕組みにしています。
優秀な営業マンには昇級ではなく昇給で還元しており、頑張るほど報酬が得られるため満足度も高いです。

優秀な人材を確保するには、社員が「ここで長く働きたい」と思えるような環境作りが何よりも重要です。
私たちはそこを重要視し、社員が働きやすいような会社を目指して日々精進しています。

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